郊外(ベッドタウン)の高価格帯飲食店は「人口規模」で決まるのか?

立地分析:ときずし 山田
(千葉県八千代市:勝田台駅から220m)

千葉県八千代市の勝田台駅近くに店を構える「ときずし 山田」。食べログ評価3.59、客単価2万円前後という高級店でありながら、なぜ都内など遠方からも客を呼べるのでしょうか。

結論から言えば、その強みは「(1)安定した所得層が見込めるベッドタウンという商圏特性」と、「(2)『カウンター6席』と『最大34席』を使い分ける巧みな集客戦略」にあると考えられます。

問い

しかし、同じ「都心から1時間圏」のエッジシティであっても、例えば人口が約6割の印西市で、同じ経営は成り立つのでしょうか? 本記事では、その「高価格帯経営が成立する人口ライン」についても考察します。

1. 店舗基本情報

  • 店舗名: ときずし 山田
  • 食べログ評価: 3.59 (50人)
  • Google評価: 4.5 (82件)
  • ジャンル: 寿司、日本料理、海鮮
  • 住所:千葉県八千代市勝田台1-3-13
  • 最寄り駅: 勝田台駅 (220m)
  • 駐車場: 2台
  • 開店日: 2006年11月

2. 商圏データと考察

立地に関するデータを(3km圏/1km圏)で比較します。

項目 3km圏 1km圏
昼間人口 93,739人 17,708人
夜間人口 164,564人 26,422人
昼間人口比率 56.96% 67.02%
平均年齢 47.0歳 47.1歳
【考察】
  • 昼間人口比率が低く、夜間人口が昼間の約1.8倍(3km圏)であることから、典型的な「ベッドタウン」であることが明確です。
  • 3km圏で夜間16万人超という人口基盤は、高価格帯の飲食店を支える上で非常に重要なポイントです。
  • 平均年齢が47歳と高く、都内へ通勤する安定した所得層のファミリー世帯やシニア層が多く居住していると推測されます。

3. 店内情報と考察

  • 席数: 6席 (口コミ) / 34席(食べログ)
  • 予算(昼): ¥15,000~¥19,999
  • 予算(夜): ¥15,000~¥19,999
  • 予想滞在時間: 2.0h
【考察】
  • 客単価が昼夜ともに約2万円と非常に高額です。これは、前項の「安定した所得層のベッドタウン」という特性と合致しています。
  • 席数に「6席」と「34席」という大きな乖離があります。これは少人数向けのカウンター席と、団体向けの個室の両方に対応している可能性を示唆しています。

4. 評価・ランキングと考察

  • 評価平均(食べログ): 総合 3.79, 料理・味 3.79
  • 最寄り駅総合ランキング(3km): 4位 / 601件中
  • 最寄り駅ジャンル(寿司)ランキング(3km): 1位 / 19件中
【考察】
  • 3km圏内に競合が19店ある中で、見事にランキング1位を獲得しています。
  • 高価格帯でありながらも、それを上回る「料理・味」の満足度を提供し、このエリアで「特別な寿司屋」としての確固たる地位を築いていることを示しています。

6. 総合所感(分析の結論)

  1. 高価格帯シフトの成功創業35年の鮨屋の二代目が経営。口コミによれば、2013年頃は5,000円台でも利用できたようですが、近年はコース単価が2万円前後まで上昇しています。この大幅な価格シフトが成功している背景には、商圏データが示す「安定した所得層が住むベッドタウン」という強固な地元需要があると推測されます。
  2. 「6席」と「34席」の二重戦略口コミでは「限定6席」「完全予約制」とある一方、食べログには「34席」と記載されています。これは、基本は二代目がこだわるカウンター6席で高単価な「おまかせ」を提供しつつ、先代からの名残である宴会場(個室)も保持し、団体貸し切りにも対応していることを示しています。これにより、「都内からわざわざ訪れる寿司好き(カウンター需要)」と、「地元の富裕層・法人の会食(個室需要)」の両方を取り込むことに成功しているのではないでしょうか。
  3. 「都内比」での割安感「1時間以上かけて来た」という口コミがあるように、遠方からの来客も多いようです。これは、都内の同レベルの高級寿司店と比較した場合の「リーズナブルさ(割安感)」が評価されているためと考えられます。勝田台という立地(都心より固定費が安い)が、高いコストパフォーマンスを実現する要因の一つとなっているのでしょう。

【結論】高価格帯経営が成立する「人口規模」の境界線

本件(ときずし 山田)の成功は、「都心から1時間圏のベッドタウン」という立地特性が大きく寄与しています。しかし、同様の立地であればどこでも成功するわけではありません。

重要なのは「人口の絶対数」です。

「ときずし 山田」が位置する八千代市(勝田台駅周辺)は、3km圏で夜間16万人超という分厚い人口基盤があります。この「安定した母数」こそが、高価格帯のニッチな需要(ハレの日の利用、遠方からの来客)を支えています。

一方、同じ「都心から1時間圏」でも、例えば人口がこの地域の約6割程度である印西市のような新興ベッドタウンでは、同じ価格帯・業態の経営は非常に困難でしょう。人口母数が少なければ、高価格帯のニッチな需要はすぐに刈り取り尽くされ、持続的な経営が難しくなるからです。

地図:
ストリートビュー:
調査日:2025年11月14日

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