小さな飲食店が
「競争せずに生き残る」方法

競争が嫌いな飲食店ほど、
「競争」を学ばないといけない
競争と聞くと、かけっこや受験のように「誰かと争って、勝ち負けをつけるもの」を想像する人が多いかもしれません。中には「そういうのはもう疲れた」「争いたくないから、自分はマイペースにやりたい」と感じている人もいるでしょう。
しかし、本当の意味での競争とは「戦わないために、どこで戦うかを決めること」です。だからこそ、競争が嫌いな人ほど、競争のことをきちんと学ばなければいけないのです。
とくに飲食業界は、どうしても競争が生まれやすい業界です。人の口は一つしかなく、一日に食べられる量も限られているからです。限りある胃袋に向かって、たくさんの店が「うちに来てください」と奪い合う構造になってしまうのです。
だからこそ「正面から殴り合わないための競争戦略」が必要になるのです。

競争には「3つの段階」がある
最初に知っておくべきことは「競争には大きく分けて3つの段階がある」という前提です。
3段階と言われると少し不思議に感じるかもしれませんが、近所の人気店を思い浮かべながら、次の3つの競争のしかたを読んでみてください。
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まだライバルが少ない「場所ややり方」を見つけて先にそこに店を出す競争
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見つけた場所ややり方を、あとから来る店に簡単にマネされないようにする競争
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同じお客さんを、他の店と正面から取り合う競争
競争はたいてい1番目から始まります。目新しい店がうまくいき、行列ができるようになると、それを見た2店舗目、3店舗目が同じような場所・やり方で参入してきます。少しずつ、じわじわと「全面戦争」のような状態になっていきます。これを表したのが上記の競争の3段階です。
牛丼チェーン、タピオカドリンクの店、焼肉店、焼き鳥店……。子どものころの記憶までさかのぼってみると、同じような店どうしが競い合っている光景を、いくつも思い出せるのではないでしょうか。
こういった競争の中で中小企業や個人店にとって、本気でやってはいけないのが3番目の「正面からの殴り合い」です。
3番目の段階に来た時点で、相手は大手フランチャイズかもしれません。長い時間をかけて食べログの評価を積み上げてきた有名店かもしれません。資金力も、人材も、広告費も、ブランドも、すべて相手のほうが上です。こちらにとっては、ほとんど絶体絶命の状況です。
そのような相手と正面から戦って勝てる可能性は、ほとんどありません。

ここでいう「立地」は、店の場所そのものだけを指しているわけではありません。
・どの商圏で営業するのか
・どんな客層に向けるのか
・ラーメン屋なのか、パスタ屋なのかといった業態や価格帯をどうするのか
といった要素も含めて「どこで勝負するのか」という意味で使っています。です。だから、この話は「新規出店だけ」ではなく、「すでに店を経営している人」にもそのまま当てはまります。
そのうえで、私たちのような個人店や小さな会社が、いちばん力を入れるべきなのは1と2です。「そもそも競争が少ない立地を選ぶこと」と、「その立地で簡単にマネされない形をつくること」。
この二つでどこまで勝負を決めてしまえるかが「戦わないための競争戦略」の核心になります。
大企業もやっている
「戦わないための競争」
これは飲食業界だけの話ではありません。自動車メーカーのような大企業がひしめく業界でも、同じ発想で戦っています。
トヨタやホンダといった会社は「どの価格帯」「どの用途」「どの地域」で勝負するかを細かく分け、その組み合わせごとに車種を設計します。ファミリーカーに強い会社がある一方で、フェラーリのようにラグジュアリーな高級車にほぼ全振りしている会社もあります。
彼らは、「全部の土俵で勝とう」としているわけではありません。「ここでは勝負しない」「ここに集中する」という選択をはっきりさせています。
こうした戦略の考え方は、アメリカで発展した経営理論の中で40年以上前に整理されたものです。大手の飲食店チェーンを運営している企業は、この前提を当たり前のように学び、現場で実践しています。
それなのに、多くの個人店や小さな会社は、その前提を知らないまま「とにかくがんばって営業する」「SNSで発信する」といった根性論に頼りがちです。
これは、巨人に竹槍で突っ込んでいくドン・キホーテのような戦い方です。
そんな無謀なことをしても、相手は綿密な戦略と資本をもって攻めてきているのですから、私たち個人経営の店や会社が、何が起きたのかも分からないまま一掃されてしまう可能性は高いままです。

だからこそ、巨人につぶされないために、私たちも「どこで戦い、どこでは戦わないのか」という戦略を持って市場に向き合う必要があります。
幸いなことに、巨人たちは小回りが利きにくい存在です。地域に根ざすことになる飲食店の世界では、むしろ個人店のほうが、その街に合った有効な戦略を打てる余地が大きいはずです。
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」
昔の人が残したこの言葉ほど、飲食店経営、とくに立地やポジションの選び方を考えるうえで必要な言葉はないかもしれません。
小さな飲食店の唯一の戦略は「そもそも争わない」こと
では、個人店や小さな飲食店は、どう戦えばいいのでしょうか。
まず第一にやるべきことは、「そもそも正面から争わない場所を選ぶ」ことです。
- 駅前の一等地で、大手チェーンと同じ価格帯・同じメニューで勝負しない
- すでに有名店が密集しているエリアに、同じジャンルで飛び込まない
- 高級店が成立しない客層の商圏で、無理に高価格帯を狙わない
こう書くと当たり前に聞こえるかもしれません。しかし、現場では「物件が空いていたから」「家賃が安かったから」という理由だけで決めてしまうケースが驚くほど多いのが現実です。
本当は、「この場所なら、どんな価格帯・どんな業態なら、あまり競争せずに成立するのか」を先に考える必要があります。
これが、小さな店が取りうる、ほとんど唯一と言っていい戦略です。
そして、この真理に気が付いた瞬間から世界は一変します。すでにお店を経営している人でさえ、どんな場所で営業していようと、この戦略を取れれば活路が見いだせます。

競争しないために必要なのは「戦わない立地の選択」である
では、競争しないために、具体的に何をすればいいのでしょうか。
飲食店の場合、答えはシンプルです。
- その場所の商圏人口はどれくらいか
- 年齢構成はどうか(ファミリーが多いのか、単身者が多いのか)
- すでにどんなジャンルの店が、どれくらいあるのか
- 昼間人口と夜間人口、どちらが多いのか
こうした基本的なデータを押さえた上で、
「このエリアで、自分が正面衝突せずに済むポジションはどこか」
を考えればいいのです。
多くのマーケティング本やコンサルの言う
「あなたのお店の強みは何ですか?」
「お客さんにどんな価値を届けたいですか?」
といった問いも、突き詰めればこの一点に行き着きます。

多くの人は「自分の強み」を生かせれば何とかなると思って、根性論に走りがちです。それだけでは十分でありません。それでは自分の人生をつぎ込む無謀なギャンブルと同じです。
自分の人生をかけているからこそ、しっかりとした戦略が必要なのです。
つまり「自分の強みを活かしつつ、できる限り競争が少ない場所にポジションを取ればいい」のです。
それが「戦わないための競争」であり、小さな飲食店が生き残るためのいちばん現実的な戦略です。
立地デザイナーに見てもらうと、何が変わるか
ここからは、実際に私たちが郊外型の立地診断レポートや現地調査で見ているポイントを、ひとつの例を通して紹介していきます。
今はインターネットで人口統計などのデータを簡単に手に入れることができます。さらに、そのデータをAIに読み込ませて質問すれば、かなりそれらしい答えも返ってきます。それだけでも、多くの場合は十分役に立つ情報になります。
それでもなお「プロに見てもらった方がいい場面」があるのはなぜでしょうか。一つは、「数字やAIの答えをどう解釈して、実際の店づくりに落とし込むか」という部分が、意外と難しいからです。
たとえば、料理に自信のあるオーナーさんが、郊外にある自分の店の立地についてデータを調べたとします。その結果、「50代の女性を多く集客できそうなエリアだ」ということが分かった、としましょう。
このとき、多くの方はまず「50代の女性が好きそうなメニュー」を一生懸命考え始めます。もちろん、それ自体はとても大切なことです。
ただ、そこで思考が止まってしまうのは、もったいないことなのです。
私たち立地デザイナーが入る場合、発想の順番が少し違います。
まず最初に見るのは、メニューではなく「その50代女性が、本当に入りやすいお店になっているかどうか」です。
・駐車場は、運転にあまり自信がない方でも入りやすい動線になっているか
・道路から見て、看板はきちんと目に入る位置と大きさになっているか
・お店の入り口の雰囲気は、50代の女性が「ここなら入ってみようかな」と思えるものか
こうした、「なんとなく入りづらい」「ちょっと不安だな」と感じてしまうポイントを、一つひとつ拾い上げていくところから始めます。
さらに、店内についても細かく見ていきます。
・看板のサイズや色合い、内装のトーンは合っているか
・テーブルの高さや椅子の座り心地は、50代の女性にとって負担にならないか
・メニュー表は、字の大きさやレイアウトも含めて読みやすいか
・50代の女性に来てもらうには、SNS広告が合うのか、地域のチラシやポスティングの方が向いているのか

こうしたお客さまとのあらゆる接点を、すべて『デザイン』として捉え、ひとまとめにして提案します。そのうえで、オーナーさんと一緒に「どこから取り入れていくか」を決めていくことになります。
私たちは『立地』を“場所だけ”ではなく、お客さまがその場所と出会ってから店内で過ごすまでの一連の体験として捉えているからです。
同じデータを見ていても、誰もが同じ結論にたどり着くわけではありません。一見、同じ数字や同じ風景を見ているようでいても、私たちには「解釈のしかた」を変えるためのノウハウがあります。見ているポイント自体もかなり異なります。
駐車場に停まっている『車の車種』や『ナンバープレート』から、商圏の広さや客層を推測するといったこともあります。
他にも、場所はまったく別でも「環境の条件」がよく似ているエリアで成功している事例を、多く知っているのも強みです。
たとえば、千葉県の郊外のベッドタウンで立地を検討しているときに、大阪の郊外で同じような環境条件でうまくいっている店の事例を引っ張ってくる、といったこともできます。
数字やAIの答えだけでは見えにくい、「現場の温度」と「お客さんの心の動き」まで含めて立地を読み解きたい方向けに、私たちは郊外型の立地診断というサービスをおこなっています。
郊外型立地診断でできること
郊外型の立地診断では次のようなことが明らかになります。
・商圏(車で5〜15分圏)の人口や世帯構成、生活パターンを整理
・「誰に来てもらう店か」をはっきりさせ、その人たちの日常動線の中に入れているかを確認
・信号・右折禁止・中央分離帯・駐車場の動線など、「車で入りやすく出やすいか」を細かくチェック
・その街の暮らしと店のコンセプト、メニュー・価格帯がきちんと噛み合っているかを見直すデータ
初回の立地診断の相談は無料で受けています。
詳しいデータ分析レポートや、店舗デザインの具体的な設計・相談は、内容に応じて個別に見積もるかたちになります。
費用の相場はコチラをご確認ください。

私たちができること
私たちは、店舗デザインを主たる業務とするところから始まりました。
そこから店舗デザインだけでは店舗を経営するオーナー様の思いを達成できないことに気が付き、より大きな経営の視点から店舗デザインに関わることを決意しました。
私たちは、店舗を経営するオーナー様と、お店が何十年も続き、複数の店舗も持つようになり、代替わりしても関わり続ける、パートナー関係を築くことを旨としています。
そのため、店舗の立地を分析し、店舗の最適な物件情報、店舗内装デザイン、メニュー表作成、SNS運用・広告などをお手伝いします。 物件取得から商圏分析、店舗コンセプト、収支シミュレーションまでを一気通貫で考え、「その店にとっての運命の場所」を一緒に探すことを仕事にしています。
お気軽にお問い合わせください。


