ベッドタウン郊外でグルメバーガー店はなぜ成立するのか?

立地分析:ハンバーガー「FREEK Hamburger&others」
(千葉県鎌ケ谷市:六実駅から741m)

東武アーバンパークラインの六実駅から住宅街を抜けて歩いていくと、畑と一戸建てが混じる静かな道に出ます。しばらく進むと、県道沿いにぽんと現れる一軒家のハンバーガー店があります。道路越しでも視線を引きつける、アメリカンな外観の店。それが「FREEK Hamburger&others」です。

店内に入ると、レトロなアメリカンダイナーのような世界観が広がり、分厚いパティが焼ける音と香りが空間を支配します。松戸の有名店で修行した店主が独立して立ち上げた店として、開業当初からハンバーガー好きのあいだではすでに話題になっていました。

それでいて、この店が建っているのは駅前の商店街でも、大型ショッピングモールの中でもありません。ベッドタウンの外れ、車でないと通り過ぎてしまいそうな県道沿いの一軒家です。「こんな場所で、本格的なグルメバーガー専門店は成り立つのか?」――その問いから、この立地分析を始めます。

立地面でのポイントを整理しておきます。

  1. 商圏人口
    ・車で三キロ圏の人口は116,626人、徒歩〜自転車圏に近い一キロ圏は13,166人。
    ・昼間人口比率は三キロ圏で56.15%と半分強にとどまり、典型的な「住宅地中心のベッドタウン」です。

  2. 世帯・住宅の特徴
    ・三キロ圏の一般世帯は47,354世帯で、二人世帯と三〜四人世帯が全体の六割強を占めます。
    ・住宅のうち持ち家が72.95%と高く、賃貸よりも「定住ファミリー中心の街」という性格が強いエリアです。

  3. 立地タイプ
    ・東武アーバンパークライン六実駅から徒歩11分前後のエリアながら、体感としては「駅前」ではなく「県道沿いロードサイド」。
    ・店前に駐車場8台(うち2台分はオートバイ用)を備えた一軒家レストランで、車での目的来店を前提とした造りです。

  4. 業態・価格と評価
    ・席数22席、昼夜とも客単価1,000〜1,999円のグルメバーガー専門店。
    ・食べログ評価3.54、口コミ64件、保存1367件と、このエリアの独立系飲食店としてはかなり強い支持を得ています。

  5. 競合環境
    ・三キロ圏の飲食店総数は451店、そのうちハンバーガーやアメリカンなど類似ジャンルは9店。
    ・松戸エリアのハンバーガーランキングでは、名店R-Sなどに続く上位グループに位置づけられています。

  6. WEB・世界観
    ・公式Instagramを軸に、バーガーや店内の様子を継続的に発信しており、「辺鄙だけれど行きたい店」というイメージづくりに成功しています。

この店は、「ベッドタウンの外れ×ロードサイド×グルメバーガー」という一見ハードルの高い条件を、「しっかりした商圏人口+強い商品力+世界観づくり」で乗り越えているケースだと言えます。

問い
  • ベッドタウンの県道沿いに、中価格帯のグルメバーガー専門店を出しても成立する条件はどこまでそろっていると望ましいのか。
  • 駅前やショッピングモールではなく、「住宅地寄りのロードサイド」で飲食店を成り立たせるには、どんな商圏とコンセプトが必要なのか。

1. 店舗基本情報

  • 店名:FREEK Hamburger&others(フリーク ハンバーガー アンド アザーズ)
  • 住所:千葉県鎌ケ谷市佐津間468-1
  • 最寄り駅:東武アーバンパークライン(東武野田線) 六実駅
  • アクセス:六実駅から徒歩11分前後。高柳駅・新鎌ヶ谷駅からも徒歩圏に入る位置です。
  • 立地タイプ:県道8号沿い・一軒家レストラン・郊外ベッドタウンの外れ
  • ジャンル:ハンバーガー(グルメバーガー専門店)
  • 席数:22席(4人テーブル4卓・6人テーブル1卓)
  • 客単価:ランチ・ディナーとも1,000〜1,999円が中心
4.1

Google評価

3.54

食べログ評価

1/9

食べログ順位
(同ジャンル駅3kmk)

4/451

食べログ順位
(全ジャンル駅3km)

  • 営業時間:10:00〜22:00(ラストオーダー21:00)
  • 定休日:毎月1日・11日・21日・31日
  • 駐車場:店前に8台(うち2台分はオートバイ用)
  • 決済:現金のみ(クレジットカード・電子マネー・QRコード決済は不可)
  • 主な評価:食べログ3.54・口コミ64件・保存1367件
【考察】

立地自体は「駅前立地」ではなく、「駅徒歩圏ギリギリの県道沿い一軒家」です。その代わり、駐車場8台と22席というバランスで「車で来るファミリー・カップル・友人同士」をしっかり受け止められるキャパシティを確保しています。

価格帯はチェーンのファストフードと比べると高めですが、グルメバーガーとしては標準的です。この「中価格帯×しっかりしたボリューム感」というポジションが、ベッドタウンの「ちょっと良い外食」にちょうどはまっていると考えられます。

2.商圏データと人口・世帯構成(ベッドタウン郊外の特徴)

店舗を中心とした立地に関するデータを(3km圏/1km圏)で比較します。

2-1. 人口・年齢構成

項目 3km圏 1km圏
人口総数 116,626人 13,166人
年少人口(〜18歳) 14,947人(12.82%) 1,547人(11.75%)
生産年齢人口(19〜64歳) 69,352人(59.47%) 8,000人(60.76%)
高齢人口(65歳〜) 30,399人(26.07%) 3,369人(25.59%)
昼間人口 65,490人 6,691人
夜間人口 116,626人 13,166人
昼間人口比率 56.15% 50.82%
平均年齢 45.5歳 45.6歳
【考察】
  • 人口規模
    3km圏で11万人を超える人口があり、数字だけ見ると「専門店ひとつ分の需要」を十分に支えられる規模です。
    1km圏は1万3千人台とコンパクトですが、車移動が前提の郊外では「3km圏のポテンシャル」のほうが重要になります。

  • 年齢構成
    生産年齢人口が六割前後、高齢人口が四分の一前後という構成で、首都圏郊外としては標準〜やや高齢寄りです。
    ただし、年少人口も一割強あり、「子どものいるファミリー」と「子育てを終えつつある世帯」が混在するエリアと考えられます。

  • 昼間人口とベッドタウン性

    昼間人口比率が3km圏で56.15%と、ビジネス街のように昼間人口が膨らむタイプではありません。
    「夜に人が帰ってくる住宅地」であり、平日のディナーや週末ランチ・カフェ需要を狙う業態と相性が良いエリアです。

グルメバーガーは「通勤途中のサクッと需要」よりも、「時間を取ってしっかり食べる外食」として選ばれやすいジャンルです。その意味で、ベッドタウンの夜と週末にしっかり人が戻ってくるこのエリアは、構造的には顧客がいる立地と言えます。

2-2. 世帯構成・住宅・事業所

項目 3km圏 1km圏
一般世帯総数 47,354世帯 5,628世帯
1人世帯 14,016世帯(29.60%) 1,827世帯(32.46%)
2人世帯 14,310世帯(30.22%) 1,696世帯(30.14%)
3人世帯 9,139世帯(19.30%) 1,059世帯(18.82%)
4人世帯 7,264世帯(15.34%) 770世帯(13.68%)
5人世帯 2,026世帯(4.28%) 217世帯(3.86%)
6人世帯 438世帯(0.92%) 37世帯(0.66%)
7人以上世帯 161世帯(0.34%) 22世帯(0.39%)
住宅総数 46,182戸 5,117戸
持ち家 33,690戸(72.95%) 3,651戸(71.35%)
賃貸 9,913戸(21.47%) 1,291戸(25.23%)
事務所数 2,619(世帯比5.73%) 231(世帯比4.57%)
【考察】
  • 世帯構成から見える客層
    1km圏・3km圏ともに、「1人世帯」と「2〜4人世帯」がバランス良く分布しています。特に3km圏では、2人世帯と3〜4人世帯で全体の6割強を占めるため、「夫婦のみ世帯」と「子どものいるファミリー」がボリュームゾーンだと考えられます。
  • グルメバーガーは、
    ・休日ランチに家族で
    ・夜に夫婦やカップルで
    ・友人同士の集まりで
    といった利用シーンと相性が良いので、この世帯構成とは噛み合っています。
  • 持ち家比率の高さ
    持ち家比率が七割を超えており、全国平均と比べても高い水準です。定住性の高いエリアでは、「一度気に入ると何度も通ってくれる常連客」がつきやすいというメリットがあります。
  • 事業所の少なさ
    事務所数の比率がそれほど高くなく、「オフィス街ランチ」型の需要は期待しにくいエリアです。
    したがって、平日昼は「近隣の住宅・現場仕事・通りがかりのドライバー」、夜と週末は「地元住民」が主なターゲットになります。

3. 郊外ロードサイド立地の特徴(アクセス・駐車場・周辺環境)

3-1. 道路・交通との関係

FREEKは、県道8号の佐津間交差点近くに位置する一軒家レストランです。

  • 県道沿いで車の通行量があり、道路からの視認性は高い
  • ただし歩道の人通りは多くなく、「ついでに入る店」というより「目的を持って向かう店」
  • 夜道はやや暗く、徒歩来店には心理的なハードルがある(食べログやSNSの口コミでもその点に触れられている人もいます)
  • 一方で、店前に8台分の駐車場を確保していることで、
    ・ファミリーカー
    ・バイク
    ・近隣からのドライブ来店

といった「車・バイク前提の来店」をしっかり受け止められる構造になっています。

3-2. 駅との距離

六実駅からは徒歩11分前後、高柳駅・新鎌ヶ谷駅からも徒歩圏内に入る位置にあります。

駅チカではありませんが、「駅から歩いて行けなくもない距離」にあることで、

  • 学生や若いカップルが徒歩で
  • バイクや自転車でふらっと
  • 車で家族や仲間を乗せて

といった複数のアクセス手段が使える立地になっています。

【立地タイプのまとめ】
  • 純粋な「ロードサイド店」ではなく、
  • 「駅徒歩圏の端+県道沿い+駐車場完備」というハイブリッド型

このタイプは、

  • 駅前の高い賃料を避けつつ
  • 住宅地からのアクセスも確保し
  • 車利用者も取り込む

という戦い方ができる位置です。

4. グルメバーガー業態と価格帯、狙える客層

4-1. 業態の特徴

FREEKの業態を整理すると次のようになります。

  • 和牛を使った分厚いパティのグルメバーガー専門店
  • テーブル22席の一軒家レストラン
  • 昼夜ともにドリンクやサイドメニューを含めた「食事」としての利用が中心
  • 子ども向けのメニューやワンちゃんと一緒に使える外席もあり、ファミリー・ペット連れにも対応

「ハンバーガー=ファストフード」というイメージではなく、「ハンバーガー=特別な一食を楽しむレストラン」というポジションづくりをしているのが特徴です。

4-2. 価格帯と所得・ライフスタイル

客単価は昼夜とも1,000〜1,999円で、

  • ファミレスより少し高い
  • 都心のグルメバーガー専門店よりはやや抑えめ

という価格帯です。

3km圏の世帯構成と持ち家比率を踏まえると、

  • 都心に通勤する共働き世帯
  • たまの外食で「きちんとしたものを食べたい」ファミリー
  • バイクや車が趣味の中年層

といった層が一定数存在すると考えられます。
そうした層にとって、「ちょっと贅沢な週末ランチ」や「仕事帰りに寄るごほうびバーガー」としてちょうどよい価格帯です。

【まとめ】
  • ベッドタウンの所得水準とライフスタイルに対して、「手が届く非日常」の価格設定
  • ファストフードやファミレスと真っ向から競うのではなく、「グルメバーガー」という別土俵をつくっている

このあたりが、郊外ロードサイドでも支持を集めている理由のひとつと考えられます。

5. 周辺の飲食店・ハンバーガー店との競合環境

5-1. 飲食店の数とジャンル

3km圏の飲食店総数は451店、そのうちハンバーガーやアメリカンなどの類似ジャンルは9店です。飲食店数/世帯数比は0.99%で「店の数はそれなりに多いが、ハンバーガー専門店は少ない」という構図になっています。

つまり、

  • ラーメン・居酒屋・和食などは競合が多い一方
  • グルメバーガーというジャンルでは「ほぼ独壇場」に近いポジション

を取れていると考えられます。

5-2. 食べログ・エリア内でのポジション

食べログ上では、

・評価3.54
・口コミ64件
・保存1367件

と、この規模の郊外エリアの新店としてはかなり目立つ数字になっています。

また、松戸エリアのハンバーガーランキングでは、名店R-Sや「ばーがー時々洋食亭」などと並ぶ上位グループに位置づけられており、グルメバーガー好きの人たちからは「名前を聞いたことがある店」になりつつあります。

【考察】
  • ジャンル内競合が少ないうえに、味・評価で頭ひとつ抜けている
  • 駅前チェーン店とは場所もコンセプトもズラしている

この二点によって、郊外ロードサイドでも「目的来店を集める店」として成立していると考えられます。

6. WEB・口コミ・SNS から見る集客と世界観づくり

6-1. 公式Instagramと情報発信

FREEKは、公式Instagramアカウントでバーガーや店内の様子を積極的に発信しています。

  • ハンバーガーの断面写真
  • レトロな店内の雰囲気
  • 期間限定メニューや営業時間のお知らせ

などが定期的に投稿されており「行く前から世界観が伝わる」状態をつくっています。

さらに、Lemon8や個人ブログ・グルメアカウントでも、

  • 「辺鄙な場所にこんな素敵な空間があるとは思わなかった」
  • 「ボリューム満点で、わざわざ行く価値がある」

といったレビューが散見されます。

Googleマップの口コミ数も増えており、「郊外にあるけれど話題の店」としてSNS上で認知が広がっている状況です。

6-2. 「見えにくい立地」を補う情報の出し方

駅前やショッピングモールと違い、この場所は「なんとなく歩いていて見つかる」タイプの立地ではありません。
その代わりに、

  • SNSで「店の世界観」と「場所」をセットで伝える
  • グルメメディアや個人の投稿で「わざわざ行く理由」を積み上げる

ことで、「地図アプリで検索して行く店」としてのポジションを確立しています。

郊外のロードサイド立地では、

  • 偶然通りかかる人を待つのではなく
  • WEB上でファンになった人に来てもらう

という発想が重要ですが、FREEKはそれをうまく実践しているケースだと言えそうです。

7. FREEKの立地から学ぶ、郊外出店のポイント

7-1. この店・この立地ならどうか

ここまでの内容を踏まえて、FREEKの立地を総合的に整理すると次のようになります。

  1. 3km圏に11万人超の人口、四万七千世帯という十分な商圏規模
  2. 持ち家比率が高く、定住ファミリーと共働き世帯が多いベッドタウン
  3. 駅前ではなく、駅徒歩圏ギリギリの県道沿い一軒家+駐車場8台という立地構造
  4. グルメバーガー専門店として、価格帯・商品力・世界観がしっかりしている
  5. ハンバーガーというジャンル内では競合が少なく、口コミ・ランキングでも頭ひとつ抜けている
  6. SNSと口コミを通じて、「辺鄙だけれど行きたい店」というポジションを確立しつつある

この条件がそろっているため、「郊外ロードサイド×グルメバーガー」という一見難しそうな業態でも、成立しうる土台があると言えそうです。

7-2. 他エリアで出店を考える人へのヒント

FREEKのケースから、ほかのエリアで応用できそうなポイントをまとめると、次の3つです。

  1. 「3km圏」の人数と中身を見る
    ・商圏人口は、単に多ければよいのではなく、
    ・何人いるか
    ・何歳代が多いか
    ・単身かファミリーか
    をセットで見る必要があります。
    ・グルメバーガーのような「イベント性のある外食」は、
    ・定住しているファミリーやカップル
    ・車で動く中年層
    との相性が良いジャンルです。
  2. 駅前ではなくても、「駅徒歩圏+車動線」を両取りできるか
    ・駅から歩いて行ける距離にありつつ、
    ・車でのアクセスもしやすい県道沿いかどうか
    をチェックしてみてください。
    「駅前でもない、ロードサイドど真ん中でもない」中間的なポジションが、有利に働くこともあります。
  3. ジャンル内競合が少ない場所で「頭ひとつ抜ける」
    ・3km圏の飲食店数だけでなく、
    「自分と同じジャンル・価格帯の店が何軒あるか」
    を確認することが重要です。
    競合が少ないジャンルで、しっかりした商品力と世界観をつくれば、「郊外でもわざわざ行く店」になれる可能性があります。
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