千葉県白井市の北側を走る国道16号線。大型トラックや通勤車が途切れず行き交う幹線道路の折立交差点付近に、薄いクリーム色の外壁と、鮮烈な赤色の大きな看板が目立つラーメン店があります。店舗前には広い駐車スペースが広がり、店内はカウンター席のみという、典型的なロードサイドのラーメン店の姿です。
最寄り駅の西白井駅からは2,712メートル離れており、徒歩来店よりも車・バイクでの来店が前提の立地です。店のジャンルは横浜家系ラーメン。濃厚な豚骨醤油スープと太麺、チャーシューを看板に、国道16号を行き交うドライバーや近隣住民に長く支持されてきた店です。
白井市は東京都心25キロ圏内のベッドタウンとして発展してきた街で、北部は農地と住宅地、工業団地が入り混じるエリアです。そこに「家系ラーメン×純ロードサイド×駐車場20台」という組み合わせで出店しているのが寺田家ラーメンです。このケースは、幹線道路沿いでラーメン店を出すときにどの程度の商圏規模や競合環境があれば成立しやすいのかを考えるうえで、ひとつの参考になる立地だと言えます。
立地面でのポイントを整理しておきます。
- 店舗は白井市折立の国道16号沿いに位置し、西白井駅から2,712メートルの「純ロードサイド立地」。カウンター12席・駐車場20台という構成で、車利用客を前提にした小規模店舗です。
- 3km圏人口は37,067人、1km圏人口は4,078人。年少人口14.76%、高齢人口26.16%と、子育て世代とシニアが混在する中規模のベッドタウン商圏です。
- 持ち家比率は3km圏で81.53%と非常に高く、定住ファミリー中心のエリアです。一方で昼間人口比率は66.30%と、日中も一定の人が残る郊外住宅地になっています。
- 3km圏の飲食店は291店舗、そのうちラーメンなど類似ジャンルは28店舗。寺田家ラーメンはその中で総合7位、ラーメンジャンル3位に位置づけられており、競合が多い中でも上位ポジションを確保している店です。
- 価格帯は昼夜とも〜999円が基本で、口コミ集計では1,000〜1,999円がボリュームゾーン。国道16号の交通量(推定昼間12時間で上下各1万2千台程度)と組み合わさることで、「日常使いの外食」としての高頻度利用に支えられる構造になっています。
- 自前のHPやSNS発信はほとんどなく、食べログ・ぐるなび・ホットペッパー・口コミサイトなどのプラットフォーム上の情報と、幹線道路沿いの視認性によって集客しているケースです。
この店舗は「人口3万7千人規模のベッドタウン×高い持ち家比率×幹線道路沿い×高評価の家系ラーメン」という条件がそろうことで、駅から離れた純ロードサイドでも成立している事例だと整理できます。
問い
- 駅から2キロ以上離れた国道16号ロードサイドで、ラーメン店はどのような客層に支えられているのか?
- 3km圏人口37,067人、1km圏人口4,078人という商圏規模で、ラーメン店が成立しやすい条件は何か?
- 高い持ち家比率とファミリー世帯中心のベッドタウンで、低〜中価格帯ラーメン業態はどう位置づけられるのか?
- 同じような幹線道路沿いで出店を検討するとき、どの指標をチェックすればよいのか?
1. 店舗基本情報
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店名:寺田家ラーメン(横浜ラーメン寺田家 白井店)
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住所:千葉県白井市折立478-11
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最寄り駅:北総線・西白井駅(駅から2,712メートル)
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立地タイプ:国道16号折立交差点付近のロードサイド・平屋建て店舗
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席数:12席(カウンターのみ)
Google評価
食べログ評価
食べログ順位
(同ジャンル駅3kmk)
食べログ順位
(全ジャンル駅3km)
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駐車場:店舗左側に20台以上駐車可能なスペースあり
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営業時間:各サイトでは「11:00〜24:00」「11:30〜23:30」など、11時台から夜遅くまでの通し営業・火曜定休の情報が多く見られる
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価格帯:昼・夜とも基本メニューは〜999円、口コミ集計上は1,000〜1,999円が多い利用レンジ
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オーダー方式:券売機+カウンター越し提供
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ジャンル:横浜家系ラーメン(豚骨醤油・太麺・海苔・ほうれん草)
【考察】
小型の平屋にカウンターのみ12席という構成は、長時間滞在ではなく「さっと食べて出る」家系ラーメンらしい造りです。一方で駐車場が20台と席数に比べてかなり多く、車で来る客を回転よく受け止めることに特化した設計になっています。営業時間は昼前から夜遅くまで途切れず開ける形で、通勤・通学帰りやドライバーの食事需要を取りこぼしにくい体制です。
この店舗は「小さな店内キャパに対して駐車場が厚く、長時間営業で交通需要を取り切るロードサイド型家系ラーメン店」と言えます。
2.商圏データと人口・世帯構成(ロードサイド郊外の特徴)
店舗を中心とした立地に関するデータを(3km圏/1km圏)で比較します。
| 項目 | 3km圏 | 1km圏 |
|---|---|---|
| 人口総数 | 116,626人 | 13,166人 |
| 年少人口(〜18歳) | 14,947人(12.82%) | 1,547人(11.75%) |
| 生産年齢人口(19〜64歳) | 69,352人(59.47%) | 8,000人(60.76%) |
| 高齢人口(65歳〜) | 30,399人(26.07%) | 3,369人(25.59%) |
| 昼間人口 | 65,490人 | 6,691人 |
| 夜間人口 | 116,626人 | 13,166人 |
| 昼間人口比率 | 56.15% | 50.82% |
| 平均年齢 | 45.5歳 | 45.6歳 |
【考察】
3km圏人口3万7千人という規模は、ラーメン店1店舗を支えるには十分な商圏です。ただし1km圏人口は4,078人とコンパクトであり、徒歩圏だけに依存するのは難しいエリアです。車3km圏を主なターゲットと考える必要があります。
年少人口が14.76%と全国平均よりやや高く、生産年齢人口が約6割、高齢人口が4分の1強という構成です。子どものいるファミリーと、50〜60代前後の世代が混在する典型的な郊外ベッドタウンの年齢構成になっています。
持ち家比率が81.53%と非常に高い点が大きな特徴です。賃貸比率が低く、長く住むファミリーが多いエリアでは、一度気に入った店に何度も通う「常連構造」がつくりやすくなります。昼間人口比率66.30%という数値は、都心のように昼間人口が大きく膨らむエリアではないものの、日中も一定の人口が残り、夜に向けてさらに人が戻ってくる住宅地であることを示しています。
このエリアは「定住ファミリー中心の中規模ベッドタウン商圏であり、車3km圏を前提にすれば日常食業態を支えるボリュームがある街」と整理できます。
3. 郊外ロードサイド立地の特徴(道路・駐車場・周辺環境)
- 立地は国道16号折立交差点付近のロードサイド。道路沿いからの視認性が高く、車線数も多い幹線道路です。
- 店舗前には広い駐車場があり、20台以上の駐車が可能です。
- 昼間12時間の推定交通量は上り12,602台、下り12,170台と、合計で24,772台程度。
- 西白井駅からの距離は2,712メートル。駅前商業地からは外れた位置で、徒歩来店は限定的と考えられます。
- 周辺は住宅地・農地・ロードサイド店舗が混在するエリアで、大型ショッピングモールよりも単独店舗や中小規模のロードサイド店が点在しています。
【立地タイプのまとめ】
国道16号は千葉県北西部の物流・通勤の幹線であり、日中も夜間も車の流れが途切れにくい道路です。寺田家ラーメンはこの交通量を真正面から受けるポジションにあり、看板と外観の視認性さえ確保できていれば、多くのドライバーの「頭の中の地図」に店の存在を刷り込める立地です。
駅からの距離が2.7キロと離れているため、徒歩・電車利用者への依存度は低く、通勤途中のサラリーマンや学生というよりも、自家用車・トラック・営業車などのドライバーが主な来店経路になります。駐車場20台というキャパシティは、カウンター席12席の店にとってかなり厚く、ピーク時間帯でも車で来店しやすい構造になっています。
この店舗は「駅前の人通りではなく、国道16号の車の流れを集客チャネルとする純ロードサイド立地」であると位置づけられます。
4. ロードサイドラーメン店の業態・価格・競合環境
- 業態:横浜家系ラーメン(豚骨醤油ベース・太麺・ライス付き利用も多い)
- 価格帯:ラーメン並〜トッピングを含め、1食の会計は700〜1,000円前後。口コミ集計上の利用レンジは1,000〜1,999円
- 席数:カウンター12席
- 3km圏飲食店総数:291店舗
- うちラーメンなど類似ジャンル:28店舗
- 最寄り駅3km圏におけるランキング:飲食店総合7位/ラーメンジャンル3位(食べログ評価に基づく)
- 食べログ評価:総合3.47(214件)
- Google評価:4.1(約1,064件)
【考察】
同じ3km圏に飲食店が291店舗、ラーメンなど類似ジャンルが28店舗あることから、このエリアは決して競合が少ないとは言えません。その中で寺田家ラーメンは総合7位、ラーメンジャンル3位という上位ポジションに位置しており、評価・認知ともに安定した支持を得ていることが分かります。
業態としては、ラーメン1杯+ライスなどの組み合わせで1,000円前後に収まる価格帯で、日常使いしやすい設定です。幹線道路沿いの家系ラーメンというポジションは、仕事帰りや出先からの帰路に「がっつり食べたい」ときの選択肢として機能しやすく、定期的なリピート利用を生みやすい業態とも言えます。
この店舗は「競合の多い3km圏の中で、安定した評価と日常使いしやすい価格帯によって上位ポジションを確保している家系ラーメン店」と整理できます。
5. 寺田屋の立地から学ぶ、ロードサイドへ出店のポイント
ここからは、寺田家ラーメンのケースをもとに、他エリアで幹線道路沿いのラーメン店出店を考えるときの目安を整理します。
5-1. 必要な商圏規模と人口構成
- 車3km圏人口が3万人台後半(今回のケースでは37,067人)あると、ラーメンのような高頻度業態は成立しやすくなります。
- 年少人口〜働き盛り世代(20〜50代)が厚い一方で、高齢人口も一定割合いる構成は、「若年〜中年男性客メイン+ファミリー・シニアのサブターゲット」という家系ラーメンの客層と相性が良いと考えられます。
- 持ち家比率が高いエリアでは、通い慣れた店をつくる心理的ハードルが低く、ロードサイド店でも常連比率を高めやすくなります。
→ 幹線道路沿いのラーメン出店を検討する場合、「車3km圏人口3万人以上」「年少〜中年層のボリュームが厚い」「持ち家比率が高め」といった条件がそろっているかをひとつの目安にできるかもしれません。
5-2. 国道・県道沿いでの交通量と駐車場
- 昼間12時間で上下合わせて2万台以上の交通量がある幹線道路は、ロードサイド飲食店にとって大きなポテンシャルになります。
- その交通量を売上につなげるには、看板・外観・夜間の照明などで「存在に気づいてもらう」ことと、駐車場台数で「入りやすさ」を確保することが重要です。
- 寺田家ラーメンのように、12席の店で駐車場20台という組み合わせは、ピーク時の車入れ替えをスムーズにし、ドライバーにとって「いつでも寄りやすい店」という印象をつくります(10年以上前の情報を見ると路上に駐車してお店に訪れている人が多かった印象があります。そのため、昔よりも現在の方が人は訪れにくくなっている可能性はあります)
→ 幹線道路沿いのラーメン店では、「交通量」「視認性」「駐車場台数」の3点をセットで設計することが、商圏人口と同じくらい重要な条件になります。
5-3. 競合環境とポジション取り
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3km圏でラーメン類似業態が28店舗ある中で上位3位に入っている点から、商品力や味の安定感は競合と比べて優位にあります。
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ラーメンのような日常食業態では「価格を極端に下げる」よりも、「味・ボリューム・提供スピード・安定した営業時間」といった基本性能で信頼を積み上げることが、長期的なポジション維持につながります。
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幹線道路沿いでは、同じ方向に複数のラーメン店が並ぶケースも多いため「家系」「味噌」「つけ麺」「二郎系」など、味のスタイルで役割分担ができているかどうかも重要な視点です。寺田家ラーメンは典型的な家系としての役割を担っていると考えられます。
→ 出店検討時には、「3km圏の同ジャンル店舗数」「自店が担う味のスタイル」「価格帯とボリュームのポジション」を整理し、どの層の需要を取りに行くのかを明確にしておくことが重要です。
5-4. WEB・口コミと世界観
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寺田家ラーメンは、自前のHPや公式SNSがほぼなく、食べログ・ぐるなび・ホットペッパー・トリップアドバイザーなどの口コミサイトに頼った露出が中心です。
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長年営業してきた店の場合これでも集客が回るケースがありますが、新規出店では最低限のHPやSNSで「場所・営業時間・メニュー・駐車場情報」を分かりやすく出すことがほぼ必須になりつつあります。
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特に幹線道路沿いの店は「通りがかりで存在を知る → 検索して営業時間やメニューを確認する」という流れが多いため「検索しても情報が出てこない」状態は機会損失につながります。そのためgoogleMAPに広告を出すのもお勧めです。
→ ロードサイド出店では、「道路からの視認性」と同じくらい「スマホ検索での見つかりやすさ」を設計することが、今後ますます重要になります。
自店・候補地に引き寄せて考えるためのチェック
寺田家ラーメンのケースと比較しながら、自店や候補地を検討するときのチェックポイントを整理します。
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候補地の車3km圏人口は何人か。3万人を超えているか、それ未満か。
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3km圏の年齢構成はどうか。20〜50代のボリュームゾーンと、子育て世代・シニアの比率はどう分かれているか。
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持ち家比率は高いか低いか。定住ファミリー中心の街か、賃貸・単身者が多い街か。
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同じ3km圏にラーメン(または自店と近いジャンル)の店は何店舗あり、その中でどんな味・価格のポジションを狙えるか。
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候補地の前面道路の交通量と、確保できる駐車場台数はどの程度か。「席数に対して駐車場が十分か」「入りやすい動線になっているか」をどう評価できるか。
これらの問いに具体的な数字と条件で答えていくことで、「寺田家ラーメンと同程度の成立条件がそろっているのか」「どこが弱く、どこを補えばよいのか」を整理しやすくなります。
地図:
ストリートビュー:
引用・参考サイト:
寺田家 白井店(地図/写真/白井・印西/ラーメン) - 楽天ぐるなび
寺田家ラーメン|千葉県白井市折立|【オニオンワールド】千葉県の地域情報サイト・口コミ・写真・声を届ける
人口・世帯データ:RESASおよび国勢調査(3km圏を集計)、JSTAMAP








