飲食店の差別化の出発点は、
自分の立地を知ること

差別化は「すごい才能」ではなく、「どこにいるか」で決まる
「あなたにしかできないことは何ですか」
「他店と差別化しなければいけません」
飲食店向けの本やセミナー、youtubeの動画を見ていて、こんな言葉をよく見かけます。
ところが、この言葉をまじめに受け取るほど、心の中ではこんな声が聞こえてきます。
「自分にしかできないことなんて、本当にあるんだろうか」
「圧倒的な料理の腕や有名店での修行歴がないと、差別化なんて無理なんじゃないか」
まるで“特別なスター選手”にならないといけないようなプレッシャーです。
でも、本当にそうでしょうか。
差別化の正体は「特殊能力」ではありません。同じ人・同じ料理でも、「どこで」「誰に」向けて出すかによって、意味が変わってきます。
ここではまず、その前提を整理してみたいと思います。

アフリカで手巻き寿司、
日本でアフリカ料理
少し極端な例で考えてみます。
もしあなたがアフリカの地方都市に行って、その場で手巻き寿司を握ったとします。ネタも道具も完璧ではないかもしれませんが「現地の人がふだん食べないもの」を出すだけで、かなり目立つ存在になります。
逆に、日本の住宅街の一角で「本格的なアフリカ料理専門店」を始めたらどうでしょうか。そのエリアに同じようなお店が無ければ、それだけで立派な“差別化”になります。
ここで大事なのは、
- あなたの料理の腕前が急に変わったわけではない
- 「場所」と「周りの店」が変わっただけ
ということです。

同じ自分、同じレベルの料理でも、置かれる場所が変われば「珍しさ」「価値の見え方」がまったく違って見えます。
差別化というと、どうしても「自分の特殊能力」を探しにいきがちですが、
実際には「どこでそれをやるか」という条件のほうが、はるかに大きく効いてきます。
激戦区では「超絶差別化」が必要になる
もう少し現実的な例で考えてみましょう。
仮に、世界トップレベルのラーメン店が4軒も並んでいる通りがあるとします。食べログの点数も高く、行列もできるような店ばかりの“激戦区”です。
そんな場所に新しくラーメン店を出すとしたら、どうでしょうか。
・味で圧倒的に勝つ
・価格で圧倒的に安くする
・体験としてまったく別物にする
いずれにせよ、ものすごく強い差別化をしないと、お客さんの目にすら入らないかもしれません。
一方で、今度は「ラーメン店がほとんどない住宅街」を想像してみてください。チェーン店がひとつあるだけ。ほかは定食屋やファミレスばかり、というエリアです。
この場所ではどうでしょうか?
ここでは“世界最高峰”レベルを目指さなくても「ふつうにおいしいラーメン」を出すだけで、十分に喜ばれる可能性があります。

求められているのは「誰もやっていない、とびきり変なこと」ではなく、
・この場所の人たちにとって
・ふだん使いしやすい
・ちょうどいいラーメン屋
であることかもしれません。
同じラーメンでも「どんな立地で」「どんな店に囲まれているか」によって、必要な差別化のレベルや方向性はまったく変わります。
「あなたにしかできないこと」の前に知るべきこと
よく言われる、
「あなたにしかできないことは何ですか」
「他の店にはない強みは何ですか」
という問いは、まったくのウソではありません。
自分なりの強みやスタイルを考えることは、確かに大切です。
ただし、その問いには前提があります。
「あなたは今、どんな場所にいて、どんな店たちと向かい合っているのか」
ここが抜けたまま「強み」だけを考えようとすると、どうしても話が宙に浮いてしまいます。
- 周りに似たような店がたくさんあるのか
- そもそも同じジャンルの店がほとんどないのか
- ファミリーが多い場所なのか、一人暮らしが多い場所なのか
- 通勤客がメインなのか、地元住民がメインなのか
そういった「場所の条件」が分かっていないと、本当に必要な差別化の方向も、必要以上にがんばってしまっている部分も見えてきません。
差別化とは、「空想上の巨大な敵」と戦うことではありません。

差別化と聞くと、つい「テレビで特集されるレベルの、すごい店」や「SNSでバズるような一発ネタ」を想像しがちです。
けれど、現実の飲食店で大事なのは、「このエリアで/この家賃と規模で/この客層に対して、何を出せばいちばん喜ばれるか」という、日常の中でじわじわ効いてくる“ちょうどいい違い”です。
その“ちょうどいい違い”を見つけるためのスタート地点が、
「自分の店がどんな場所に立っているのかを知ること」
です。
差別化のスタート地点は
「立地を知ること」
ここまで見てきたように、
- 同じ人・同じ料理でも、「どこで」「誰に」出すかで差別化になる
- 激戦区と空白地帯では、求められる“違い”のレベルがまったく違う
という前提があります。
差別化のスタート地点は「自分の立地がどんな状況にあるのかを知ること」です。
- 自分の店の商圏には何人くらい住んでいるのか
- 年齢のボリュームゾーンはどこなのか
- 周りにはどんなジャンルの店が、どれくらいあるのか
- 自分の店は、その中でどんな立ち位置にいるのか
こうしたことが見えてくると、
「この場所なら、どこまで“ふつう”でよくて、どこから“違い”を出せばいいのか」
を、具体的に考えやすくなります。

差別化とは、才能探しの旅ではありません。まずは「自分が立っている場所」をきちんと知ること。
そこからようやく「では何を売るか」「どうメニューやサービスを組み立てるか」という、次の一歩が見えてきます。
立地デザイナーに相談する
「3つのメリット」
今はインターネットで人口統計や地図データを調べることができますし、AIに数字を入れれば、それらしい分析も返ってきます。GoogleMapを使えば近隣のライバル店の情報も手に入ります。こうした情報だけでも十分役に立ちます。
それでもなお、あえてプロに任せる意味があるとすれば、大きく3つあります。
1つ目は、第三者の目で見たほうが情報を冷静に理解しやすいことです。
自分の店のことになると、「こうであってほしい」という気持ちが入りやすく、数字の解釈が甘くなったり、逆に厳しすぎたりしがちです。外側から見ることで、いまの立ち位置をフラットに確認できます。
2つ目は、近隣の競合店の調査や分析にかかる手間と、そこで消耗する心のエネルギーを減らせることです。
「あの店と比べてうちはどうなんだろう」と考え続けていると、それだけで気持ちがすり減ってしまいます。その部分をまとめて引き受けて、数字と現場の両方から整理します。

3つ目は、離れた地域の事例と組み合わせて考えられることです。
たとえば、千葉の郊外で立地を検討しているときに、大阪の郊外でよく似た条件で成功している店の事例を重ねて考える、といったことができます。「似た環境でうまくいっている店」を知っていると、数字だけを見ていても浮かびにくい選択肢が見えてきます。
こうした違いがあるからこそ、「数字やAIの答えをどう解釈し、実際の店づくりに落とし込むか」という部分は、プロに任せる価値があると考えています。
「誰にとって使いやすい店か」を立地から組み立てる
私たち立地デザイナーは、数字を出して「良さそう・悪そう」とコメントして終わるコンサルではありません。
立地の数字と現場の様子をあわせて見ながら「このお客さまにとって、どんな店であるべきか」まで一緒に設計していくのが役割です。
そのイメージを持っていただくために、ひとつ簡単な例を紹介します。
たとえば、料理に自信のあるオーナーさんが、郊外にある自分の店について立地診断を受けた結果「50代の女性を多く集客できそうなエリアだ」と分かったとします。
多くの方は、ここでまず「50代の女性が好きそうなメニュー」を一生懸命考えてしまうものです。
それ自体はとても大切なことです。
私たちがお手伝いできるのは、そのもう少し手前の段階からになります。
「その50代の女性が、どんな場面でこの店を使うのか」「そもそもここを『入りやすい店』だと感じてもらえるのか」といったところから、一緒に考えていきます。
まず確かめるのは「その50代の女性にとって、本当に入りやすいお店になっているかどうか」です。
- 運転にあまり自信がない方でも、駐車場に入りやすい動線になっているか
- 道路から見て、看板の位置や大きさは目に入りやすいか
- 店先の雰囲気が、「ここなら入ってみようかな」と感じられるものか
こうした「なんとなく入りづらい」「ちょっと不安だな」と感じるポイントを、一つずつ拾い上げていくところから始めます。
店内についても同じです。
- 椅子やテーブルの高さ、座り心地が、50代の方にとって負担にならないか
- メニュー表は、字の大きさやレイアウトも含めて読みやすいか
- その年代に来てもらうには、SNS広告が合うのか、地域のチラシやポスティングのほうが向いているのか

こうした「お客さまとのあらゆる接点」を、すべて「デザイン」として捉え、商圏データや競合情報とあわせて一枚の立地診断として整理します。
そのうえで、オーナーさんと一緒に「どこから手を入れていくか」を決めていくことになります。
私たちは「立地」を“場所だけ”ではなく、お客さまがその場所と出会ってから店内で過ごすまでの一連の体験として捉えています。
同じデータを見ていても、誰もが同じ結論にたどり着くわけではありません。数字や風景は同じでも、「どこに注目し、どう解釈するか」を変えるためのノウハウが、立地デザイナーとしての仕事だと考えています。
こうした立地診断がベースにあるからこそ、希望される方には、店舗デザインやWEBサイト、SNSの使い方など、より具体的な施策まで一緒に組み立てていくこともできます。
まずは「この場所でどこまで戦えるのか」を知るところから、いっしょに整理していくサービスだと思っていただければ十分です。
郊外型立地診断でできること
郊外型の立地診断では次のようなことが明らかになります。
- 商圏(車で5〜15分圏)の人口や世帯構成、生活パターンを整理
- 「誰に来てもらう店か」をはっきりさせ、その人たちの日常動線の中に入れているかを確認
- 信号・右折禁止・中央分離帯・駐車場の動線など、「車で入りやすく出やすいか」を細かくチェック
- その街の暮らしと店のコンセプト、メニュー・価格帯がきちんと噛み合っているかを見直すデータ
初回の立地診断の相談は無料で受けています。
詳しいデータ分析レポートや、店舗デザインの具体的な設計・相談は、内容に応じて個別に見積もるかたちになります。
費用の相場はコチラをご確認ください。

私たちができること
私たちは、店舗デザインを主たる業務とするところから始まりました。
そこから店舗デザインだけでは店舗を経営するオーナー様の思いを達成できないことに気が付き、より大きな経営の視点から店舗デザインに関わることを決意しました。
私たちは、店舗を経営するオーナー様と、お店が何十年も続き、複数の店舗も持つようになり、代替わりしても関わり続ける、パートナー関係を築くことを旨としています。
そのため、店舗の立地を分析し、店舗の最適な物件情報、店舗内装デザイン、メニュー表作成、SNS運用・広告などをお手伝いします。 物件取得から商圏分析、店舗コンセプト、収支シミュレーションまでを一気通貫で考え、「その店にとっての運命の場所」を一緒に探すことを仕事にしています。
お気軽にお問い合わせください。


